日常生活の注意点

リウマチと仕事 続ける? 辞める?

監修:森ノ宮医療大学大学院保健医療学 教授
大阪大学大学院医学系研究科 招聘教授
冨田 哲也 先生

関節リウマチの患者さんでもお仕事をされている方はたくさんいらっしゃいます。今まで続けてきた仕事、これから挑戦したい仕事についてご家族や職場の方の理解と協力を得て、選択肢を広げましょう。

関節リウマチでも仕事を続けたい、どうすればいい?

「関節の痛みがあるときには、安静にしていてください」と医師にいわれた方も多いと思います。もちろん、体調が悪いときはゆっくり休むことが重要ですが、ご自身で痛みのコントロールや体調がしっかり管理できているときには、日常の自己管理や服薬、通院などを続けながら、関節リウマチ発症前と同じ生活を続けることができるようになってきています。病気になったから仕事は辞めないといけないと思われる方もいらっしゃいますが、仕事をすることで、身体にも、心にもよい影響があると考えられています。「やりたいことに挑戦する」「社会にでる」ことをリウマチを患っているからといってあきらめる必要はありません。

仕事ができない、つらい、休みたい、辞めたい

通院や服薬、関節のこわばりや痛みなどの症状で仕事と治療の両立が難しいという場合には、休職や退職をして、治療を優先し、症状が落ち着いてから改めて治療をしながらでも続けられる仕事を探すという選択肢もあります。「仕事を続ける」「治療に集中する」など沢山の選択肢の中でどの選択をするかはご自身で納得して決めることが大切です。加えて、どのような選択をする場合でもご家族や職場の人の理解を得ることは、今後も関節リウマチと付き合っていく上で重要になります。

関節リウマチの症状を抱えながら仕事をするときの注意点

仕事を続ける場合にも、ご自身の身体に負担をかけないよう工夫をしてみましょう。デスクワークが多い方は、同じ姿勢が続かないよう、足を左右に小刻みに動かしたり、一定時間ごとに席を立つようにしたりと関節に負担がかからないように心がけましょう。また、室内では冷房などで冷えることもあるので、関節を冷やさないように1枚羽織るものを用意したり、ブランケットを使用したりと工夫しましょう。
カイロや湯たんぽ、温かいお茶などで温めるのもよいでしょう。
ものを拾うことが関節リウマチを患う以前より大変になることがあるので、リウマチ患者さんの中には落としやすいペンなどにあらかじめ小さいマグネットを付け、リーチャーなど長い棒の先にくっつけてとれるように工夫をされている方もいらっしゃるようです。

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職場の人への伝え方

職場の人に病気のことを伝えることを、難しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、病院にいくために会社を休む、体調が悪く遅刻・早退をする、重いものを運ぶときに助けてもらうなど、病気について話しておくことで依頼しやすくなることもあるでしょう。まずは同僚や上司など身近な方に打ち明けてみてはいかがでしょうか。

病院や地域の支援センターで相談しよう

関節リウマチの患者さんの中には、「病気があっても働きたい。けど、職場の人にどのように伝えればよいかわからない」と悩む方が多くいらっしゃいます。周囲の人に病気をどう説明すればよいかなど、治療と仕事の両立について病院や地域の支援センターなどで相談してみましょう。「症状を抱えながらできる仕事を見つけたい」と考えている方もぜひ相談してみましょう。

関節リウマチと仕事 身体に負担の少ない仕事、やりたい仕事どちらを選ぶ?

今の仕事を続ける場合にも、一度辞めて治療に専念した後、改めて新しい仕事を選ぶ場合にも、これから関節リウマチ治療と仕事の両方を続けていくことを考えたとき、どういった仕事を選ぶのがよいでしょうか?
「関節に負担の少ない仕事」や「治療が続けられる仕事」を選ぶというのも、もちろん大切な視点ではありますが、何よりも大切なことは、「やりたいと思う仕事かどうか」ではないでしょうか。

2022年10月作成 ENB46M014A