関節リウマチを疑う、気になる症状

健康診断で抗核抗体が高い、
陽性といわれました…

監修:筑波大学 医学医療系内科
(膠原病・リウマチ・アレルギー)講師
 坪井 洋人 先生

健康診断の結果、なにかしらの検査値が高いといわれた場合、その検査値が関係する病気が疑われます。健康診断で抗核抗体が高い、陽性といわれた場合、どうすればよいのでしょうか?

抗核抗体1)とは何か?

抗核抗体とは、膠原病※1かどうかを調べるために検査されることが多く、身体をつくる細胞の中心の核の構成成分を抗原とする自己抗体の総称です2)。水痘や麻疹などウイルスや細菌に感染した場合、生体内で抗体※2がつくられ、そのウイルスや細菌に対する抵抗力ができますが、人間の身体には自分の身体の構成成分に対しては抗体ができないような仕組みがあります。これは自分の身体を「自己」と判断して免疫の対象から除外しているからです。膠原病では自分の身体を「自己」と判断できず、自分の細胞の核に対して抗体が産生されてしまいます。産生された自己抗体を抗核抗体といい、膠原病の原因のひとつと考えられています。しかし細胞の核には多くの成分があり、ある成分に対する抗体ができても無害なことも多く、抗核抗体が陽性というだけでは膠原病や関節リウマチとは診断できません。

  • ※1 膠原病:膠原病は自己免疫という機序で起きる病気の総称。関節リウマチも広い意味で膠原病に含まれる。
  • ※2 抗体:細菌やウイルスなどの外敵から自分を守ろうと働くタンパク質の一種。

抗核抗体が40倍、80倍とは何を意味するの?

抗核抗体の基準値は40または80倍未満とされています3)。この〇〇倍は、抗核抗体が陽性と判定された場合に、最終的に陽性となった血液(血清)の希釈倍率を示しています。40または80倍未満の場合、最も低い希釈倍率(つまり最も高い血液濃度)である40または80倍希釈でも、反応が陰性であったという意味です。
しかし前述の通り、この基準値より高い・低いだけでは膠原病※1であると診断できるわけではありません。実際、健康な人であっても、40倍以下が20~30%、80倍以下が10~12%、160倍以下が5%、320倍以下が3%いるということもわかっています4)。そのため、抗核抗体はあくまで膠原病の指標の1つと考えてよいでしょう。また膠原病以外にも、慢性肝炎や悪性腫瘍の患者さんで抗核抗体が陽性になる場合があります。

  • ※1 膠原病:膠原病は自己免疫という機序で起きる病気の総称。関節リウマチも広い意味で膠原病に含まれる。

血液検査で陽性=リウマチ?

血液検査の陽性とは、検査の反応がはっきりあらわれることで、リウマトイド因子や抗核抗体、抗CCP抗体が陽性だからといって、関節リウマチというわけではありません。これらが陽性の場合、疑わしい病気をもう少し詳しく確認しましょうということになります。関節リウマチを含む膠原病では自己抗体が陽性となることが多いですが、逆に陰性であっても膠原病が否定できるわけではありません5)

リウマチの診断方法

関節リウマチの診断は、血液検査の結果だけではなく、関節の痛みや痛む箇所、いつ痛むかなどを確認する問診(医師による質問)と関節の腫れや痛みなどの診察を行い、下記の分類基準項目について医師が総合的に判断して行います2)。関節レントゲン写真、関節超音波検査、MRIなどの画像検査を診断に用いることもあります。

2010年米国リウマチ学会/ヨーロッパリウマチ学会による関節リウマチの分類基準6)

関節の腫れや炎症があり、その炎症がほかの病気で説明がつかないときに以下のスコアを用いて、A~Dの各群の合計が6点以上で関節リウマチと診断します。この基準はリウマチを専門とする医師が使うためのものですので、医療機関を受診することが重要です。

A. 腫れていたり、押すと痛い関節の数
大きな関節※1 1ヵ所以下 0点
大きな関節※1 2~10ヵ所 1点
小さな関節※2 1~3ヵ所 2点
小さな関節※2 4~10ヵ所 3点
1ヵ所以上の小さな関節を含む関節※3 11ヵ所以上 5点
B. 血液検査
リウマトイド因子、抗CCP抗体がいずれも陰性 0点
どちらかが陽性で、基準値の3倍以下 2点
どちらかが陽性で、基準値の3倍より大きい 3点
C. 急性炎症反応
CRPと赤沈がともに正常 0点
CRPまたは赤沈が異常値 1点
D. 症状の持続期間
6週未満 0点
6週以上 1点
  • ※1 大きな関節:足、膝、ひじ、肩、股関節
  • ※2 小さな関節:手や足の指、手関節
  • ※3 あご・胸鎖・肩鎖関節を含めてよい

症状があまりでていない方には当てはまらない項目もあります。気になる症状がある方は、診断基準の項目に当てはまるかどうかに関わらず、医師に相談してみましょう。

検査値でなにかしらの指摘を受けた、例えば抗核抗体が高い、リウマトイド因子が高い、陽性といわれたということは、「念のため詳しく検査をしてみましょう」ということであり、関節リウマチと診断されたわけではありません。関節リウマチは早期発見、早期治療が重要です。必要以上に不安になったり、逆に放っておいたりせずに、病院へいき、医師に相談することが大切です。

「関節リウマチかもしれない」と思ったら

「関節リウマチかもしれない」と思ったら、お医者さんに相談してみましょう。関節リウマチの診察では、まず問診(医師による質問)と関節の腫れや痛みなどの診察を行い、症状を確認します。関節リウマチと診断された場合でも、現在は、飲み薬、注射薬など、患者さんのライフスタイルに合わせて多くの治療法が選べます。関節リウマチは病気を早く発見し、早く治療を開始するほど、より高い効果が得られることがわかっています。また、発症してかなりの期間が経過した患者さんでも、適正な治療を行うことで症状を抑えることが期待できます。

関節リウマチ以外にも、変形性関節症や痛風など関節に痛みや炎症をひきおこす病気はたくさんあります。ほかの病気との区別が難しいことも多く、関節リウマチの診断には診察や検査などによる医師の総合的判断が必要なため、気になることや疑わしい症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。気になる症状がある場合は、まずは、かかりつけのお医者さんに相談するか、リウマチ科、膠原病科や整形外科を受診するのがよいでしょう。お近くの医療機関を探される場合は、当ホームページ内の「相談できる病院検索」をご活用ください。

  • 1)公益社団法人日本皮膚科学会:皮膚科Q&A 膠原病
    https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s2_q04.html
    2018/6/20参照
  • 2)三村 俊英:“関節リウマチ(RA)” 病気がみえる vol.6 医療情報科学研究所編 1 メディックメディア:52, 2012
  • 3)櫻林郁之介:今日の臨床検査2017-2018 1 南江堂:308, 2017
  • 4)Kavanaugh, A. et. al.:Arch Pathol Lab Med 124(1):71, 2000
  • 5)川人 豊:“自己免疫疾患総論” 薬がみえる vol.2 医療情報科学研究所編 1 メディックメディア:346, 2015
  • 6)Aletaha, D. et al.:Ann Rheum Dis 69(9):1580, 2010

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