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そこで世界的に「より早くRAを診断できるようにしよう」という機運が高まり、2009年に新しい診断基準が発表されました。米国のリウマチ学会(ACR;エーシーアール)とヨーロッパのリウマチ学会(EULAR;ユーラー)が共同で作成したので、ACR/EULAR(エーシーアール・ユーラー)の新基準と呼ばれています。 この新しい基準では、関節の腫れが1つ以上あって、他の病気でないことがわかっている前提で、RAと診断できます。ACR基準では、関節の腫れは3つ以上でなければいけませんでしたし、それも左右対称に出ていることが条件でした。しかも、症状が少なくても6週間続いてなければ診断できなかったのです。それが、新しい基準では、患者さんが「痛い」といって来院したとき、スコアリングの基準を満たせばすぐに診断できるのです。
ただし、新しい基準には課題があります。新基準は「早期診断」にはとても役立つのですが、他の病気、特に変形性関節症や膠原病、脊椎関節症など、RAと似た症状の病気と見分けるのが難しいのです。現在、日本では、この新基準を日本人の患者さんに使ってどのくらいの診断能力があるのかを検討している段階ですので、実用化には少し時間がかかると思います。
将来的に、新しい基準でRAの早期診断が可能になれば、今までよりずっと早い段階で、MTXや生物学的製剤などのRAにエビデンスのある薬剤を使えることになると思います。 そして、薬物治療にはtight control(=厳しくコントロールする)という考え方が重要です。わたしたち医師は、漫然と1年、2年と同じお薬を使い続けるのではなく、1〜3ヶ月ごとに小まめに疾患活動性をチェックして、今の治療法でよいのか、別の治療法に変えるべきなのかを考えていかなければいけません。Tight controlを行って、寛解の状態に持ち込むことができて、さらにその寛解の状態が十分な期間にわたって維持できれば、将来的には薬剤を止めることもできるかもしれません。 また、テーラーメード医療という言葉が最近よく聞かれますが、RAの領域においても、この研究は進められています。RAの患者さんの遺伝子を解析して、膨大な情報を集め、どのような患者さんにどのような薬剤が効くのか、効かないのか、あるいは副作用が出るのはどんな患者さんか。そうしたことが徐々に明らかになってきています。「この人にはこの治療がいい」と断言できるところまではまだまだですが、「この患者さんは治療をしないままでは関節破壊が進行して、日常生活がままならなくなる」という、いわゆる予後の悪い方というのをある程度は予測ができるようになってきました。今後は、日本でもこうした研究結果を踏まえて、将来的に関節破壊が起こりやすい方とそうでない方に分けて、それぞれ適切な治療が行われるようになっていくと思います。